大井歯科クリニック

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私の義歯作製法

義歯についての考え

 患者さんの本来の中心咬合位を探し出すこと。
 適正な咬合運動がなされること
 義歯装着時の重要性
以上の目的を持って義歯の改良や作成にあたっています。

現在使用中の義歯 (多数歯欠損および総義歯)の改良

患者さんは現在使用中の義歯に対して何らかの不満を持って歯科医院に訪れます。
よく噛めない
外れる
痛みを生ずる
紛失以外は使用中の義歯を修正し、満足のいくような使用感になってから新規作成に移るようにしています。
新義歯を作成すれば何でも解決するという患者の意識をなくすよう心がけています。

旧義歯での修正ポイン
咬合関係の改善
粘膜負担域の改善
これらは別個の処置として患者さんに適合する修正を行う
つまり、リベースを行う際に記ベース材を置いて口腔内でハイ噛んでとなるようなことはせず、
粘膜面での適合を終えた後に咬合の修正を行うことを意味しています。。

臼歯部でしっかりと噛める
有歯顎の場合歯ごたえのあるような食片は、臼歯部後方の咬合面上に置かれそこで下顎が咬筋によって上方に牽引され噛み潰される。
これと同様に義歯を使用した状態でも歯ごたえのある食片は人工歯の6番あたりに置かれ下顎の牽引によって咀嚼される。
咀嚼時に大きな咬合力を得るにはそのあたりに食片を置くことによって下顎骨を支える4大咀嚼肉の筋肉の走向?や
それぞれの筋力の発現の仕方によりバランスを保ちながら行われていると考える。
有歯顎時の天然歯の中心咬合位が義歯に与える咬合位とは限らない。むしろ義歯に与える咬合位は義歯を使用しながら
徐々に探し求めていき、筋肉のバランスの取れた位置を決定していくものと考える。
従って、まずは臼歯部にかかる咀嚼圧をしっかり受け止めて最大限の咬合力を発揮できるよう義歯の内面を形作る。
てこの原理で下顎頭部をてこの支点とし、力点は咬筋付着部、作用点は義歯の咬合面となる。歯ごたえのある食片をしっかり噛み潰すには
食片の置く場所を臼歯部後方に設置した方がより同じ力でもより強い咀嚼力が食片にかかってくると思います。


粘膜面の修正は咀嚼時に顎堤が受ける加圧をしっかりと受けることができなければならない。
左右の6番あたりの咬合面に手指を置き、上顎では腰が浮くぐらいの力で、下顎では患者にしっかり噛んでもらう。
左右に義歯を動かしたりせず、咬合平面に垂直な方向で左右同じ力で加圧する。
このような状態で患者から疼痛の訴えがあれば、口腔内での直接リラインを行う。
また、疼痛を訴えなくとも前後左右でのがたつきがあれば同様にリラインを行い、まずは義歯内面と臼歯部歯槽堤でしっかりとした加重負担面が
形成できるようにする。


リベース時の注意点
 (リラインとリベースは本来違いがあるが、義歯粘膜面と口腔内の義歯接触部との適合を図る意味での口腔内直接リベースをリベースとします。)
リベースを行う際、上下で咬合をさせながら粘膜面の形成は避けるべきであると考える。リベース材の説明書にはある程度の咬合調整を行った後に
リベース剤を内面にもり咬合させるとの表記がなされている。義歯に与える咬合位は粘膜面ががたつきのないしっかりとした状態(圧を加えて状態で
痛みなどの不快症状を示さない)のもとで咬合状態を作成してゆくものと思っています。
はじめに使用中の義歯は咬合面が正しいとは限らないという認識を持っています。このような認識がないと常にリベースのみを行いその結果、床が
厚みを増し、患者さんもどこで噛んだらよいか分からなくなり、常に痛みを訴えてくるようになると思います。
仕方なく弾性リベース剤を使ってみたところで咀嚼能率は改善されないばかりか、患者さんは本来ご自分の持っている義歯での中心咬合位からずらした位置で、痛くならないようなところに食片を置き咀嚼をしているようになると思います。

○咬合関係はこれから作っていく。
○上下別々にリラインを行う。

リベースの実際

使用材料はTOKUYAMAのリベースⅢ

混和比は指示書に従う
混和したては流れがよいので気泡を防ぐ意味で、薄く粘膜面に盛る
徐々に粘度を増してくるが、周辺からこぼれ落ちない程度でさらに盛っていく。
スパチュラの先端でレジン表面を押してみる。少し抵抗感を感じ離したときに若干糸を引くよな状態まで待つ。
口腔内に挿入し、通常の筋圧形成を行う。決して咬合させて保持をしない。
6番あたりの咬合面に手指を置き完全に硬化する前に加圧を試みる
残存歯がある場合は硬化する前に着脱を数度試みる(このあたりの術式は経験)
最終硬化は硬化促進剤を使用する。辺縁の形態や残存歯付近の余剰レジンを取り除く。

リベースが終了したならば再度加圧して負担能力を確実な物にする。痛みがあるところを探るのでは無く、より大きな圧に耐える粘膜面の形成のため。
昭和薬品化工株式会社のデンスポットを使用方法に準じて義歯内面にスポンジで塗布する。
義歯内面に全面に少し厚みを持って行う、
咀嚼時を想定した加圧下で歯槽堤と義歯粘膜面との適合状態を観察した場合、




1リリーフ部位作成
2早期接触部位の削去
3加重負担域の拡大

早期接触部位はペーストがはけてレジンが露出している部分を大きめのラウンドバーで少しずつ削去する。この削去する部位もあとできちんと加重を負担してもらうつもりで、決して削りすぎないこと
咀嚼時の負担能力を発揮する臼歯部においては、確実に圧負担がなされているかを確認しながら修正を試みるが、スポンジの塗布模様が残っていたり早期接触が他の部位に比べて強くでているなどをみて、調整を繰り返すが、完成形は臼歯部の4番から7番あたりまで内面で、デンスポットのペーストが
薄い皮膜のような状態を呈する。これも何回も繰り返し、患者が全く痛みを感じなくなったときの状態を見極めること。


上顎義歯の加圧
通常は術者は後方にまわり人差し指を使って牽引するつもりで



指を置く位置は6番あたりで、
義歯の重心を想定し、咬合平面に垂直方向に手指で加圧する。
この時、義歯を回転させたり、左右差に加圧を変化させない。
後の咬合関係の誤差による痛みの発言が分からなくなる。
ただひたすら重心軸を想定して一方向に加圧を行う。 腰が浮くぐらいの強さで

下顎については両方の人差し指を6番あたりに置いてj実際には患者さんに噛んでもい、その咬合力にて粘膜面の調整を行いながら最大の咬合力を発揮できるように早期接触部位を削去してゆく。
はじめはゆっくりと閉口してもらい、下顎頭が関節窩に収まり、両側の顆頭を結ぶ軸が回転運動を示すようになったとき手指で加圧する。
大きく開口をした状態ではなく、本来の患者の持つ垂直位での咬合高経を想定し、その位置での咬合力を発揮させることを目的とする。
下顎の義歯にも重心となる位置を想定し、力の向きを咬合平面に垂直な方向となるように義歯を支え、あくまでも患者自身の咬合力を主体に発揮させるが、男性には私の指を噛み潰さないでと一言告げておく。
女性に関してもかなりの強い力を発揮する。
上顎同様数度と痛みを伴うような早期接触を削去する
何度も繰り返すと患者は力を加えて噛もうとするときはここの位置で噛めば痛くなることはないと自覚してくる。。




 下顎に対してこのような調整を進めてゆくと、前歯部や臼歯部で痛みの発言がなければやがて臼歯部での加圧に対して咀嚼筋の活動を伴う下顎位が自ずと決まってくるようになると考えている。
 上下顎の中心咬合位は静かに咬合させた部位ではなく、筋肉が活動した状態で定まってくると考える。
つまり中心咬合位の削合は強く噛んでもらった状態が適切と考えています。
顎関節の位置が関節窩に収まり、回転運動を行なえる咬合高経の位置で筋力が最大限発揮できるような義歯粘膜面と歯槽堤との関係を確立してゆくことが重要であると考える。


義歯重心の捉え方と加圧方向






上顎の重心は正中線上で両側6番の近心側を結んだ交点
下顎もほぼ同様
この点を通過する咬合面に対して垂直な軸を想定し、この軸方向のみの力集中させます。








加圧時の指の添え方
上顎は術者の牽引する力で、下顎は患者の咬合力で
左右差、回転させたりしないようにします。

   デンスポットによる粘膜面の調整例

デンスポットは全面に適量を塗布する
義歯使用時の疼痛箇所を探し出すと言うことではなく、この義歯が最大限の加圧負担を為し得るかを
目指す。デンスポットの塗布の量や範囲は回数を重ねて習得してもらいたい。



 デンスポットの今回の使用は、材質的に似ているP.I.P.とは異なった物と理解してほしい。
 P.I.P.は義歯粘膜面の早期接触箇所を明記し、そこを削去す意味で、スポンに適量を取り、
義歯を咬合させいわゆる刷毛の描記が消えたところを削去する。
 デンスポットは新義歯装着時やリベースを行った直後に義歯の最大限の咬合力を発揮させるための
粘膜面の調整として捉えてほしい。
 刷毛目の消失部位ではなく、義歯床のピンクのレジン色がデンスポットを通してどのように透けてくるか
をみることにより早期接触がある部位、適正に加圧に対する負担域が再現されている部位、リリーフ部位の
3点を見極めることが大切と思う。
 数度繰り返しながら患者の反応を見極める。




 削去方法は各自やり方があるが、早期接触している部分でもやがては圧負担域であることを忘れない
 はじめは丁寧に患者の様子をうかがいながら






以上の操作をはじめに遊離端義歯で試してみてください

下顎の4567欠損や567欠損で両側欠損が望ましいです。
下顎両側の567が欠損の症例を例に取ります。両側4番に通常のエーカースクラスプ、連結装置は床で補強線が入っています。
新義歯装着時とします。はじめにクラスプの先端がウンダーカットに入っているところはプライヤーで広げます。
歯軸によってまたはクラスプの接触により装着方向が規制されるのをなくします。レストのみが義歯を支えているような状態で出し入れには
抵抗感がないようにします。
このようにクラスプをあまくしておいてデンスポットを咬合力の負担面となる部位、連結装置の裏側すべての内面にやや厚く塗布します
義歯の6番あたりに指を置いて患者に噛んでもらいます。
下顎隆起の突起部の接触状態、義歯負担面のデンスポットの表面模様等、患者との感性を感じながら何度も繰り返し調整を行ってくさい。
痛みの出現がなく最大の咬合力無く最大の咬合力を発揮していると感じているときのデンスポットが表す表面の状態を確認してください。
咬合力を負担する面がなめらかな層をなし、義歯の色が均一に透けていることと思います。

下顎遊離端義歯の連結装置について
舌の下を通す連結装置は特に舌の運動に支障をきたさない意味で屈曲によるリンバルバーや鋳造リンガルバーが用いられています。
7番欠損や4から7番までの欠損がある遊離端義歯は上記のような連結装置を用いた設計の場合、咀嚼に対しての義歯の保持や咬合圧に対応する
箇所は義歯の粘膜面、クラスプ、反対側の保持装置に限られますが、私は連結部となる部分にも咬合圧の一部や義歯の移動を防ぐ役目を
担ってもらった方がよいと考えています。
リンガルバ-や鋳造バーをレジン内に埋めてしまい、床の一部としてしまう方法です。


下縁は正体を避け上縁は前歯部では結節に架かるように設計します。臼歯部は歯茎部から離し、舌側のクラスプの後端が調整できるようにします。
前歯部の維持装置は主に アイバーを用いています。

遊離端義歯の次の調整
 私の経験からおそらくほとんどの患者が痛みを訴えてくると思います。
 あれほど強く噛んだ状態を設定して粘膜面の調整をしたのにどうしてかな?と疑問を持つことと思います。

 ① 歯が無い状態でを長く過ごしていればそこで噛まない習慣ができている。いきなり義歯が入ったから噛めることはほとんどありません。
 ② 痛みを訴えてくれて�ありがとう。義歯を使ったかみ合わせをやってくれている。下顎が素直に自身の両方の奥歯で噛むように模索している
   臼歯部の欠損は下顎を前方位に移動して咬合を行っていると考える。したがってチェアーサイドでの調整では患者はどこで噛んだら痛くないかの
   咬合位を確立している場合が多い。
 ③ 痛みがなくなるまで噛んで、いたいところを教えて。粘膜面の調整は後回し、咬合関係をじっくり調整。 患者さんを立位にして、小さく静かに
   カチカチ痛いところが自覚できたならその人工歯接触部位を削合、下顎の後方に変位し、義歯でしっかり咬合してくるまでを観察。
 ④ 出し入れに痛がる場合はデンスポットで粘膜面の早期接触部位を削合、咬合関係を終了していない状態で、咬合させた粘膜面の調整は行わない
   咬合状態の不良が分からなくなる。むしろ咬合関係の調整のみで終了してみる。もっと後方で噛んでいることもある。


患者さんへの指導




 
中心咬合位の確立

先ほどの遊離端義歯を用いての一例を示します。
以前私は新規に装着する義歯はまず口腔内に挿入し、患者さんにどうですか?痛いところはないですか?かみ合わせはいかがですか?
などといろいろ患者サイドから得られる情報をもとに調整を進める上での判断材料にしてきました。
 新義歯を入れた瞬間に患者はどこで噛んだた痛くないかを悟り、チェアーサイドで行われる調整は実際の咀嚼には役立たないことが
しばしば見られました。こんな義歯痛くて噛めない。新しく作ったの前の入れ歯のがよく噛める。など訳の分からない状態が続き、その都度
フィットチェカーを用いて早期接触部位をマークしてそこを削去しての繰り返し痛い部位が分散したり、義歯の安定が損なわれてきたりと悩んだものでした。
いろいろな症状を経験した後、粘膜面適合と咬合面の確立とは別々に対処していった方がよいと考えました。
咬合状態が正しと判断できる前でその咬合位を持って粘膜面の調整はできないと考えています。
患者さんには咬合調整を行うまで決して現在の義歯を咬合させない。粘膜面の調整時でも指を置いて咬合させない。
臼歯部に咬合圧が生じても決して痛くないという状態を作ってから咬合調整を行うようにしています。

実際には先ほどの遊離端義歯ですが、クラスプは後端を開いており、レストだけで口腔内で保持されている状態で咬合紙ホルダーを2本用意し
必ず左右両方を持って行います。片方では患者はそちらにずれた咬合をしやすいです。
水平位を保ち、小さな開口量で強く咬合させます。
咀嚼時と同様に咀嚼筋が活動し、その位置での中心咬合位を決定するためです。 
 以前は私は体位は垂直(背板)頭位は水平(フランクフルト平面)を保ち、軽い咬合をさせていました。そうすると患者は臼歯部を失っていた時の前方で
 咬合してしまうのではないかと思っています。
 しっかりと後方で咬合させるにはむしろ寝かせて強く噛んでもらった方がよいと考えています。
 それでもチェアーサイドでの調整は臼歯部に与える高さには微妙に下顎が前方に移動した位置で印記されると思ってください。
 今まで歯牙がなくその前方で咬合していたことが、いざ義歯が入ったからは奥歯でしっかり噛めると言うことはほとんど無いと思ってください。
 私は逆に痛みを発してもらった方がこの患者さんは義歯を使っているんだとよい方向で考えています。
 痛みの原因は粘膜か?咬合関係か?
 まずは痛みがなくなるまで咬合調整をしてください。
 患者さんには「今痛みがあるのはかみ合わせで高いところがあるようです。」
 といいながら痛みを感じるところで噛んで教えてください、痛みを発しているところにマークがでます。
いと言いながら数回少しずつ削去していきます。ある程度まで来ると痛みが消えてきたといってきますがさらにもっとしっかりと強く噛んでもらいます。
 そのときの咬合紙の印記状態を見るとかなり強く噛んでいる状態が見て取れます。
 我々術者は咬合紙の色の具合は見て取れますが、実際の患者サイドでの印象は異なっていると思います。
 そこで今度は患者サイドでの違和感を発見してもらいます。
 まずは起きてもらい、食事をしているような体制で正面を向いてもらい、ゆっくりと大きく開かないで小さくカチカチしてみてください。
 どこが最初に当たってきますか?右と左どちらが先に当たりますか?と訪ねます。
 すると患者はきちんと目を開き、口の周りの筋肉は緊張をなくししっかりと早期接触の部位を見いだそうとしています。
 この時右が高いとか先にあたってくるとか言ってくるとこのかみ合わせの調整に参加してきているなと私は感じてきます。
 そこで また患者を寝かせて今度は今高く感じたところを私に教えてください。さっきのように目を開いて口の緊張をなくししっかりと頭で感じながら
 噛んで教えてください。
 そうすることで、痛いところを避けようとして噛んでいた状態が逆に痛みを発生する箇所を教えてくれるかみ合わせをしてくれるようになると思います。
 ここまで来ればまた違う箇所の咬合紙の印記が示されるはずです。
 それらの調整を繰り返し行い最後にいかがですか?と訪ねるとほぼ笑顔が返ってきます。
 今日はそこまで、クラスプの緩みを調整して終わりです。


噛める場所を探ってみる

      

いきなりたくわんを示します。
実物は秋田名物いぶりがっこです。たくわんのスモーク判です。通常のたくわんに比べれば歯ごたえがあってパリパリと噛み潰すには
かなりの強い力を必要とします。
新義歯の装着やリベース直後、臼歯部での加圧に対して痛みが出ないような粘膜面の形成をデンスポットにて数回またはそれ以上
行った後でも、患者によっては痛くて噛めない、義歯が外れる等義歯に対しての不満を訴えてきます。
私は新義歯を作成するときは旧義歯を用いてほぼ完成時の形態まで持っていきます。リベースを行って加圧時の粘膜面形成後は咬合高経の適正化、そして最も重要視しているのは水平的顎位が患者固有の適正な位置を示しているかということです。
患者を寝かせた状態で、上顎臼歯部に親指と人差し指を置き、強くタッピング(咬合)させます。
中心咬合位がずれていればそれなりに義歯の移動を感じ、左右側の咬合接触に違いがあれば義歯の回転を感じます。
また、どこで咬合したいのか?つまり一生懸命臼歯部の接触を避け前方へずらそうとしているのかよく分かります。
そこでいぶりがっこの登場です。厚みは2,3ミリ、約1cm四方の大きさを用意します。患者を食事をするような体位まで起こし、ピンセットで一片ずつ
両方の6番の咬合面上に置きます。{そこで噛んでください。奥歯で噛んで、10回噛んで、}などと言って指導します。
はじめは本当に噛めるのかな?と不審がっていますが、ポリポリと音が出ると、アレ?噛めるんだと納得し、さらに唾液が出てくるといぶりがっこの
うまさを感じてきているようです。
いぶりがっこを吐き出すかそのまま嚥下してしますかは患者さんに任せますが、けっこう飲み込む方が多いです。
さらにまたいぶりがっこを2片、今度はご自分で臼歯部に置くように指示します。今度はもっと回数を増やして噛んでもらいます。
このように抵抗ある食品を臼歯部でしっかり咀嚼してもらう癖をつけてもらいます。
臼歯部での咀嚼は前歯部での不良な接触での義歯の転覆や患者自身の咀嚼のやりかたに変化を及ぼしてくると思います。

新義歯作成はこのような作業を経て行うようにしています。義歯をなくされた方や長期に渡り義歯を使用していない方は義歯装着時より咬合調整を
重ねてゆくのですから満足のいく使用までには時間がかかります。
新義歯装着時に患者はこれで何でも噛めると錯覚しているように思います。「これからこの義歯を使いながらあなたに合う義歯を創作していきます。
悪いところを少しずつ直しながら一月先を目安に頑張りましょう。そのためにはご自分で感じる不都合なことを包み隠さずおっしゃって下さい。
そのようなことが一つ一つ解決していけば、やがて安心して使用できるようになります。」

 


補綴物や充填物の調整は患者とで共通理解の元で行う

 歯牙または補綴物・インレーなどの充填物との接触関係を、直接口腔内にて手指を添え手指から得るそのバランス関係を患者と共有する。
 実際の例として下顎の6番にクラウンを装着する際に、上顎の5番6番7番あたりの左右歯茎部に親指と人差し指を添えて中心咬合位でのタッピング
 や側方運動を行い、前後の歯牙と同じような振動や歯牙の揺れを感じと取る作業です。 調整には咬合紙を使用しますが、咬合紙での印記部位は
 削合箇所であり、削合量は常に手指での感覚を基にきめ細やかに探っていく。その都度患者には返答を求めなくとも手指で感じていることは
患者も同じように感じていることです。
 前歯部の上顎2番に補綴処置を行う場合、人差し指で左右2番ぐらいまで接触するようにします。前歯部は歯茎部よりも切端よりに指を置いた方が
分かりやすいです。タッピングさせ、まずは指から伝わる振動が他の歯と同じかどうか、該当歯のみ強く振動しているのかを探ります。この時少し指を
  圧迫するようにして、それぞれの歯牙の動揺とを含めた総合的な感触が伝わってくるかを見て下さい。よくなったと感じることができたならそこで初めて
いかがですか?と尋ねてみて下さい。咬合紙だけを頼りに患者に問い続けながら行うよりよいかと思います。
 このような手指から伝わる振動を基にすべての補綴物に対して咬合調整を行っていると、歯周病での歯牙の早期接触の発見、顎関節症の咬合負担
による影響なども感じてくると思います。
 さまざまな補綴物の装着時ばかりでなく、私は常に手首の関節を回転しながら上顎のどの歯にも手指を添えてタッピングや側方運動をさせながら
隣同士の歯がバランスを持って下顎と接触関係を保たれているかを見るようにしています。
自分が感じていることは患者さんも感じています。  
    
 

以下工事中

これからは義歯に与える咬合位について総義歯に的を絞って述べてみたいと思います。
 総義歯の作成はまったく無の状態から口腔の機能を果たせる加工物を作成しなければならない。多少博打的な要素を含み出来上がってみて結果が読めてくるようなことがままあります.そこで今までの知識と経験を生かしなるべく失敗のない義歯に仕上げようと試みます。多く経験値より得られたスタートとゴールを対比させ、イメージを拡げながら作成することと思います。
義歯が初めてという人を除いて、今回新たに新義歯を作成する場合、今使用している義歯を改良し、咬合関係の修復をします。新義歯の作成の判断は義歯内面の適合状態と咬合関係の確率ができなくなった場合の両方が認められる状態を基準とします。
初めに義歯の適合状態を修正します。上顎ではテッシュコンデショナーまたはいきなりリベースをします。注意点はとにかく小帯や辺縁が義歯の安定を妨げないよう十分に削去します。義歯を口腔内に挿入し、口蓋隆起の辺りの床を人差し指一本か中指と二本で支え、患者には口角の牽引や開口、お茶をすするような動作を思いっきりさせてみて、その動作中の義歯の動きを感じ取って下さい。またなれてくると、「今口を動かしたとき、入れ歯が動く感じまたは下に落ちる感じがしますよね?分かりますか?」と問いつつ、どの辺りで感じますか?と聞いてくると、辺縁がまだ長いとか、小帯の逃げ方が少ないなどの情報が得られます。とにかく周縁の形態が義歯の安定を阻害しないようにかなり形態は小さくなるかもしれませんが、時間をかけて行うと良いと思います。
次にリベースに移ります。このとき下顎は入れないで下さい。リベース材を粘膜面に盛り、口腔内に挿入します。次に術者は12時の位置に移動し、中指は6番、人差し指は4番辺りに置き、咬合面に垂直に指四本のみで圧接します。続いて、患者には口唇、開口の運動を最大限先ほど練習したように行って下さい。このときは術者の口唇の牽引などは必要ないと考えます。患者のみの運動で良いと思います。ある程度硬化したら、口腔内より撤去し、硬化促進剤ににつけておきます。下顎の場合は辺縁の過長な部分、舌小帯、唇側辺縁の小帯部、を特に注意します。こちらもまた患者とのコミュニケーションから得られる情報を基に削去部位を特定します。下顎はテッシュコンデショナーを主に使います。
リベース後の辺縁または後縁の処理が済みましたら、まず片顎ずつ6番辺りを指で加圧し疼痛が無いかを調べます。上顎はかなりの力で押しても耐えられるように調整します。下顎は上顎よりは痛みの発生頻度は高くなりますが、患者さん自身の力を込めて、中指と人差し指二本ずつ、左右の6番辺りを押してもらい、痛みが出ないことを確認します。手指である程度(私としては咬合力に耐えられる加圧なのでかなり強く押すことになると思います。
これから咬合調整を行うに当たり、疼痛を発言するような義歯の内面では正しい咬合関係を誘導または確立するのは難しいと考えます。痛みが発言すれば患者はそこを避けるような噛み方をします。
続いて咬合調整に入ります。患者の体位は水平位、目は開いてもらい、口の緊張と心の緊張をなくすようにします。初めに上顎の義歯を挿入し、目を合わせながら義歯の6,7番当たりの外側の床または歯頸部に右手の親指と人差し指を置き、後上方に軽く圧接し、「ここに力がかかるように噛んでみて下さい 」と伝えます。このとき患者の目を見て、このことが理解できているかを確かめます。次に上下の義歯を挿入し、咬合紙を介在させおもむろに先ほどの要領で噛んで下さいと云いますが、「強く噛まないで、自分の噛みたいところで無意識に、右や左にで噛まないで、としてする大学を離れてからは母校の基礎実習に参加させて戴いておりますが、大学での実習カリキュラムは義歯作成の基本を学び、実際に手を動かしながら仕上げていくことで、実際に患者を

  1. 初診時で
  2. 現在使用中の義歯
  3. 印象採得について
  4. 咬合採得について
  5. 試適について
  6. 完成時の取り扱い

1.初診時で

通常、自院で補綴治療を始める場合は治療の流れとしての位置づけで行うことが多いと思います.多数歯欠損症例で、鉤歯等の喪失により無歯顎に移行しての作製や経年的変化に於ける義歯の老朽化や患者自身の変化に伴う再作成などがあります。それに反して全くの初診で来院し、義歯の作成をしなければならないことも多々あります。一連の流れでの義歯の作成は今までその患者さんから得られた多くの情報をもとにして、完成時のイメージを描くことができると思います。しかしまったくの初診の患者さんで現在使用中の義歯に対しての要望を話されてもなかなか完成時のイメージを描くことができません。私はこの場合、とりあえず完成時の義歯に近づけるようにお使いの義歯を改善しつつ咬合面と義歯負担面、または義歯の周縁に手を加えます。とりあえずと云いましたが、最終的にはこちらサイドで完成時の義歯がイメージできるまで、患者さんにとっては不自由のない咀嚼ができ、咬合関係が本人の本来持っている所に近づいてきて、不良習癖がなくなったと判出来るまで様子を見ます。ここまで施すと来院しなくなってしまう患者さんもいます。しかし、不満を持った義歯を参考にするより不満のない義歯を参考に作成した方がより確実な完成度の高い義歯が作成できると思います。いずれにしても何らかの不満を持って来院するわけですからそれらの不満を取り除いて咀嚼が満足に出来ることを確認してからの作成をお勧めします。

2.現在使用中の義歯について

前節の「初診時で」は完成時の義歯をイメージできるように、患者さんには咬合関係の改善がなされ、咀嚼が出来るような改善が必要とお話ししました。実際に私が行っている事を述べてみたいと思います。
患者さんの義歯に対する不満な点は様々な言い回しで訴えてきます。我々はその本質はどこなのかを見極めることが大切です。  そのような不都合が①適合の悪い義歯にあるのか?、②義歯自体の形態に起因するのか?、はたまた③患者サイドに問題あるのか?④その他いろいろな要素が起因しているのか?難しいところです。

口腔外での義歯の観察

総義歯を例にしますが、上下の義歯を中心咬合が取れていると思われるところで咬合させ、両手で指先を使いカタカタしないか確かめます。口腔内で中心咬合が確立していない義歯では口腔外でもあやふやなことが多いです。また側面からみて下顎の臼歯(特に5番6番)の極端な咬耗による上下の歯のすき間存在することもある。咬合面を観察してみると、以前は陶歯を使っていたときには作業側の滑走面が鏡のような形態をなし、患者のかみ癖やよく噛めている部位が推測できました。硬質レジン歯も陶歯ほどではありませんが、鏡の面を形成します。レジン歯の場合は前者より硬度が落ちるため鏡の面は出来にくいが、逆に咀嚼によって摩耗をおこす食物による咬耗が起き、咬合面が粗面になることもあり、鏡の面のでき方で判断は難しいです。硬質レジン歯を使った義歯はどの部位でよく噛んでいるのか?または咬合力の小さな噛み方をして良く噛めている部位が見当たらないのか?それとも?

義歯周縁部の形態

義歯負担面について

総義歯のような粘膜負担様式の義歯は経年的変化として歯槽骨の吸収が多く見られますが、中には下顎歯槽堤の小臼歯部辺りの舌側よく下顎隆起が見られるところの骨が隆起してくる場合もあります。

患者の自覚的な主訴を詳しく観察する。また他覚的な観察として発音、開閉および咬合運動を観察

3.印象採得について

患者をリラックスさせる。

印象材の混水比について

4.咬合採得について

咬合床(基礎床と蝋堤)

上顎での咬合床の合わせ方

基礎床の作成方法、松風トレーレジンⅡを用い、通常の混和比よりやや固めにする。適量をボール入れスパチュラで混和、液と粉が混ざったら手指にて堅さを見ながら外側の部分を内側に持ってくるように練り込むと欣一になる。私は基礎床作成時に模型上に外形線は記入しません。(過去の大学での基礎実習では床外形線の2mmj上方に設定)。口腔内に挿入したときに義歯を不安定にさせる口腔の諸組織から影響をとことん避けるように整形します。 レジンが一様に混和されたら適量を取り分け、両手の親指と人差し指で軽く押しながら拡げてゆきます。上顎なら横口蓋壁辺りを親指でよく密着させ、そこから周縁に密着させるようにします。周縁部の余計なところは切り取りますが、あとで硬化したときに鋭利な部分ができないようにそこで、切り取りながら辺縁も形成します。下顎は鉛筆の太さより少し太めの棒状を手のひらで作り、歯槽頂辺りの中心部に置き、そこから周縁に向かい親指と人差し指で軽く押しながら拡げてゆきます。歯槽頂部は他より厚くてかまいません。基礎床の歪みを考えた場合、むしろ必要だと考えます。 いずれにしても、少し硬化が始まりましたらいったん外します。外したらすぐに元の位置に圧接します。これを2回ぐらい繰り返すと硬化後に石膏とくっついてしまい外しづらいとか、レジンがアンダーカットに入り取れなくなるようなことが防げます。レジンが熱くなったら止めましょう。最後にもう一度よく圧接し、基礎床が模型上でカタカタしないかを確認して下さい。どんな時でも模型との間でがたつきがあるようでは再作成です

患者の持っている基本の咬合位に下顎を誘導してあげる。

6.義歯装着時

*完成義歯でのチェック

○上下を咬合させカタカタしないか?

  レジン転入時の人工歯の移動が考えられる、咬合紙を用いて早期接触部位を削合 (移動した人工歯を見極め、 咬合歯列のバランスを見る)

○粘膜面(圧負担面)の突起(石膏注入時の気泡に由来する)や、横口蓋ヒダ部に生じる鋭利な部分を削去す   る。

*口腔内でのチェック

 ○周縁部の形態

 

 上顎結節の側方および後方に架けて、装着方向での大きなアンダーカットになっていないか?
 上顎結節は比較的骨の吸収が少ないところでココは粘膜が薄く、また骨の突起がよく見られます。気がつかないで装着を試みると患者は疼痛を訴えると共に場合によっては出血し、その後の調整に影響が出ます。アンダーカットの奥まで床を伸ばすことは必要ないと思います。骨の鋭利部分を避けアンダーカットになる部分を除去すべきで、その部分から義歯の吸着が損なわれことによる脱離の原因とはならないと考えています。
  

小帯部分の注意点

  先人達が云われているように「小帯部分は大きく避けろ!」と、たとえば上唇小帯ですが、両手の人差し指   と親指で口角近くを挟み前方に軽く引いてみる。このとき患者さんには必ず目をあいてもらいます。   口元の緊張を避けないと正しい判断ができません。歯肉側で見たときに、小帯の始まりの部分が義歯の内側にありるようでは脱離の原因となります。小帯部の形態を義歯に付与する方法として私は筋圧形成時、小帯部分に付与された形態を参考にします。特に小帯部分として印記された周縁部外側のを注意深く見ると、可動部としてへこんだ部分とそれに続く所として直下では薄く、その両側はコルベン上に続く膨らみを持っています。